
2026年時点において、ERPと勤怠管理システムの連携は、単に2つのシステムを技術的につなぐだけでは十分ではありません。従業員の識別基準・勤怠処理基準・給与計算期間がシステム間で異なっていれば、連携後も手作業による修正が繰り返し発生します。そのため、連携前に5つの基準(従業員識別基準、勤務時間集計基準、勤怠処理基準、給与計算期間、入退社および組織変更の反映方法)を明確に定義しておくことが重要です。これにより、連携後に起こりうる運用エラーを大幅に減らすことができます。
連携の主な目的は、同じ勤怠データを何度も入力する手間をなくし、修正やエラーが発生したときにどのデータを根拠として確認すればよいかを明確にすることです。
勤怠管理システムに記録された出退勤データをERPの給与モジュールに手動で入力する作業は、従業員数が増えるほど負担が大きくなります。データを転記する際にミスが生じれば給与計算の誤りに直結し、修正・再確認にも余分な時間がかかります。連携を自動化することで、同じデータを繰り返し入力する作業がなくなり、例外データの確認やエラーの対処に集中できるようになります。
勤怠データが2つのシステムにそれぞれ保存されると、どちらが最新情報なのか混乱が生じます。特にデータを修正した際に片方しかアップデートされないと、両システムの内容がずれ続けるという問題が繰り返されます。どちらのシステムのデータを正とするかを事前に決めておけば、エラーが発生したときの確認基準が明確になります。
給与システムやERPの給与モジュールは、勤怠データをもとに給与計算を行います。残業・深夜勤務・欠勤などの情報が正確に渡されなければ、計算結果に誤差が生じます。連携の仕組みが整えば、給与締め時に担当者が勤怠データを手作業で集計する手間を大幅に削減できます。
連携設計の段階で、従業員識別基準・勤務時間集計基準・勤怠処理基準・給与計算期間・入退社および組織変更の反映方法を先に定義する必要があります。これらを定めないまま連携を進めると、技術的な接続が完了した後も運用エラーが繰り返し発生します。
2つのシステムで従業員を識別する基準が一致していなければなりません。社員番号や従業員IDなど、従業員を一意に特定するための値がシステムごとに異なって管理されていると、連携時にデータのマッチングエラーが発生します。そのため、連携前にどちらのシステムの従業員情報をマスターとするかを決め、双方のデータ形式を統一しておく必要があります。
複数の店舗や拠点で勤務する従業員がいる場合は、店舗ごとに集計された勤怠データが1人の従業員単位で合算して送られるよう、識別体系を先に整備しておく必要があります。連携対象によっては、社員番号の修正が過去の記録に遡って適用されない場合があるため、識別子の統一を最初に行うことが重要です。
勤怠管理システムが実際の出退勤時刻を基準に集計するか、スケジュール基準で集計するかによって、ERPに渡される勤務時間の値が変わります。早出や遅退の扱い、休憩時間の控除方法についても事前に定めておく必要があります。
残業・深夜・休日勤務など給与計算に影響する勤怠タイプは、どの基準で分類してどの項目として渡すかを事前に定義しておく必要があります。また、勤怠管理システムがこれらのタイプをどのコードやフィールドで渡すか、ERPがその値をどの手当項目に紐付けるかについて、事前のマッピング作業が必要です。
遅刻の判定基準(何分から遅刻とするか)、早退と勤務中外出の区別、無断欠勤の処理方法などは会社によって異なります。これらの基準が勤怠管理システムからERPへそのまま正しく渡されているかを確認し、渡される項目の定義が両システム間で一致するように整合を取る必要があります。
給与計算の対象期間(例:毎月1日〜末日)と、勤怠データの集計期間が異なる場合があります。期間がずれている場合は、どの期間の勤怠データを給与計算に反映するかを事前に定義しておく必要があります。また、確定(締め)済みのデータのみを送るのか、締め後の修正分はどう反映するのかも、あらかじめ決めておく必要があります。
各システムに人事イベントがいつ反映されるか、また入社日・退職日の勤怠データをどう処理するかを定めておく必要があります。退職者情報の非アクティブ化・削除のタイミングによって、過去の出退勤記録の照会・送信可否が変わるため、退職処理前に必要なデータが正しく反映されているかを確認しておく必要があります。
部署異動や職位変更が発生すると、両システムの組織構造情報がずれる場合があります。給与単価や手当基準が部署・職位に連動している場合は、組織変更時の処理方法を明確に定義しておく必要があります。
連携方式はAPI連携・ファイル転送(CSV/Excel)・ミドルウェア・コネクターの3種類に分かれます。システム環境や運用要件に応じて、適切な方式を選択できます。
給与業務では、データがいつ確定するかと反映サイクルをあわせて考慮したうえで、連携方式を決定します。
▪︎ API連携
APIを通じて勤怠データをやり取りする方式です。呼び出し周期に応じてリアルタイムまたはバッチで転送され、両システムがAPIをサポートしている必要があります。連携設計の初期段階で、転送する項目とデータ形式を明確に定義しておくことが重要です。
▪︎ ファイルによるデータ転送
日次または給与締め前に勤怠データをファイルとして出力し、ERPにアップロードする方式です。実装は比較的シンプルですが、アップロード前にデータ形式がERPの入力フォーマットと一致しているかを必ず確認する必要があります。
▪︎ ミドルウェア・コネクターの活用
2つのシステムのデータ構造が大きく異なる場合に、間に変換役となるミドルウェアを置く方式です。初期構築コストがかかる場合がありますが、両システムへの修正範囲を抑えられるというメリットがあります。
連携後は、データの整合性・送受信ログ・エラー通知と例外処理・システムおよび規定の変更を定期的に点検する必要があります。
連携開始直後は、一部の従業員のデータが欠落したり、異常な値が送られたりすることがあります。給与締め前に、勤怠データの件数がその期間の勤務対象従業員数と一致しているか、合計勤務時間が正常な範囲内に収まっているかを確認するチェックリストを用意しておくことをお勧めします。
転送は完了していても、ERPに正常に反映されていないケースが発生することがあります。送信ログとERPの受信ログを照合して、漏れがないかを確認する手順を設けておく必要があります。
システムメンテナンス・ネットワーク障害・異常なデータ値などにより、連携が一時的に停止する場合があります。エラー発生時に担当者へ通知が届く仕組みを整備し、例外データを手動で処理する手順をあらかじめ定めておく必要があります。
勤怠管理システムやERPがアップデートされると、APIの仕様やデータフィールドが変わることがあります。また、勤務時間・賃金に関する規定が改正された場合は、集計基準とシステム設定を見直す必要があります。変更があるたびにシステムへの反映を確認することが重要です。
ERPと勤怠管理システムを連携する際は、2つのシステムをつなぐだけでなく、ERPに渡す勤怠データを正確に管理し、必要なデータをいつでも確認できる環境を整えることも重要です。Shoplは出退勤データを一元管理し、必要な勤怠データをダウンロードできるほか、ご利用中のERPや運用環境に合わせて連携方式を協議することができます。
複数の店舗や拠点の勤怠データをERPに渡すには、店舗ごとの出退勤データを別々に集めて整理する作業が必要になる場合があります。
Shoplでは、複数の店舗・拠点に所属する従業員の勤怠データを一か所で統合管理できます。勤務地別の出退勤の現状を日・週・月単位で確認できるため、ERP連携前に店舗ごとのデータを個別に集計する手間を省くことができます。
ERPに勤怠データを送った後でエラーが発生した場合、どの出退勤記録を基準にデータが送られたのかを改めて確認する必要が生じることがあります。
Shoplでは、モバイルアプリで記録された出退勤データがリアルタイムで反映され、出勤率・遅刻率・早退率の統計と給与精算に必要な勤怠データをダウンロードできます。ERPへの送信前に必要なデータを直接確認・取得できるため、連携前後を問わず、出退勤記録の根拠をいつでも確認できます。
ERPによって対応している連携方式や必要なデータ項目が異なるため、連携前にどのデータをどの方式でやり取りするかを確認する必要があります。
Shoplは、ご利用中のERPや組織の運用環境、必要なデータに合わせて連携方式を協議します。会社ごとに異なるERP環境と勤怠データの管理方法に応じて、必要な連携範囲を確認することができます。具体的なサポート範囲については、Shopl のお問い合わせはこちらよりご案内しています。
ERP連携は一度設定すれば終わりではありません。組織変更・規定改正・システムのアップデートが生じるたびに、連携基準とデータの流れを見直すことで、運用エラーを抑えながら給与業務を安定して継続できます。連携前に5つの基準を明確に定義しておくことが、その出発点となります。
A. 従業員の識別基準(社員番号など)です。
2つのシステムが同じ識別子を使っていない場合、その後のデータマッピングでエラーが発生する可能性があります。
A. 勤務時間の集計基準や手当の分類方法が変わる可能性があります。
規定が改正されるたびに、勤怠管理システムの集計ロジックとERPの項目マッピングが引き続き有効かどうかを点検する必要があります。
A. 退職者情報の非アクティブ化・削除のタイミングによって、過去の出退勤記録の照会・送信可否が変わる場合があります。
退職処理の前に、必要なデータがERPに正常に反映されているかを先に確認することをお勧めします。
A. 環境によって異なります。給与業務では、データがいつ確定するか、どのくらいの頻度で反映する必要があるか、ERPがどの連携方式をサポートしているかをあわせて確認する必要があります。
ファイルのアップロードをサポートしている場合はファイル転送で、自動連携や迅速な反映が必要な場合はAPI連携を検討できます。
締め後の修正分を別途反映するかどうかも、連携方式を決める際にあわせて定義しておくことをお勧めします。
A. 連携だけで給与計算の全プロセスが自動化されるわけではありません。
勤怠データを送信した後も、給与項目の設定・例外データの確認・締め処理や修正対応が必要になる場合があります。
ERPと勤怠管理システムの連携は、2つのシステムをつなぐだけでは完結しません。従業員識別基準から勤務時間集計・勤怠処理・給与計算期間・組織変更の反映方法まで、事前に基準を合わせておくことで、連携後の手動修正やデータエラーを減らすことができます。
特に複数の店舗や拠点の勤怠データをERPと連携させる場合は、出退勤データがどこで生成され、どの基準で集計されてERPに渡されるかまで確認しておくことが重要です。連携前に5つの基準をまず点検し、自社に合った連携方式を設計してみてください。