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DEIとは?意味から採用・組織文化への適用まで、人事担当者のための実務ガイド

2026-10-26
DEIとは?意味から採用・組織文化への適用まで、人事担当者のための実務ガイド

DEI(Diversity・Equity・Inclusion)とは、メンバー間の違いを認め、それぞれの置かれた状況に応じた公平な機会を提供し、誰もが本当に「ここに属している」と感じられる職場環境をつくるための組織運営の考え方です。

2026年現在、DEIという名称や取り組み方は企業・国によってさまざまに変化していますが、実質的な変化につなげるには、採用・配置・評価・コミュニケーションの仕組み全体に制度と文化として根付かせることが不可欠です。

この記事では、DEIの基本的な考え方から現場への導入方法、研修の運営、成果の測定指標まで、段階的に解説します。​

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1. DEIとは何ですか?

▪︎ 多様性(Diversity):メンバー間の違いを認めることから始まる

多様性とは、性別・年齢・国籍・障害の有無・宗教・性的指向・学歴・勤務形態など、メンバーがそれぞれ持つさまざまな違いを指します。多様性の出発点は「違いをなくすこと」ではなく、「違いがあるという事実をそのまま認めること」です。異なる背景や視点が共存する職場では、問題の見方やアイデアの幅が自然と広がります。

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▪︎ 公平性(Equity):出発点の差を考慮した、真に公正な機会の提供

公平性(Equity)とは、全員に同じ条件を与えることではありません。それぞれが置かれた状況や出発点の差を踏まえたうえで、誰もが同等の機会にアクセスできるよう条件を整えることです。たとえば、介護・育児の責任を抱えるメンバーが必要なときに柔軟な勤務形態を申請できる仕組みを設けたり、障害のあるメンバーに対して業務遂行に必要な設備・ツール・勤務方法の調整を提供したりすることが、公平性を実践する具体的な方法です。

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▪︎ 包括性(Inclusion):メンバーが本当に「ここに居場所がある」と感じられる環境

包括性とは、多様なメンバーが組織に「存在する」だけにとどまらず、意思決定に実質的に参加し、自分の意見が尊重されていると感じられる状態のことです。多様性が「誰がいるか」の問いだとすれば、包括性は「その人たちが本当に歓迎されているか」という問いです。

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▪︎ DEIが人事の重要課題として注目される背景

職場の人員構成が急速に多様化するなかで、メンバー間の違いを調整することが現場運営の重要な課題となっています。少子高齢化により複数の世代が同じ現場で働くケースが増え、国境を越えた労働力移動やパートタイム・シフト制・外勤など勤務形態の多様化によって、現場管理者が対応すべき差異も大きくなっています。

加えて、投資家や取引先が人材運営に関する情報開示を求める動きが広がり、メンバー自身の公正性への期待も高まっていることが、DEIが人事の主要課題として定着してきた背景にあります。

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2. DEIはなぜ企業の競争力と組織文化に重要なのでしょうか?

▪︎ 組織パフォーマンスとDEIの関係

マッキンゼーの「Diversity Matters Even More(2023)」レポートでは、23カ国1,265社を分析した結果、経営陣の性別多様性が上位25%の企業は、下位25%の企業と比べて財務的に高い成果を上げる可能性が39%高いことが示されました。ただし、これは多様性と財務成果が同時に見られる傾向を示したものであり、多様性が成果を直接高めるという因果関係を証明するものではありません。

多様性を確保することと同時に、評価基準の一貫性や意思決定への参加機会といった、包括性を支える運営基準も定期的に見直すことが重要です。

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▪︎ 人材の確保・定着への影響

包括的な組織文化は、メンバーが自由に意見を出し、業務に主体的に関われる環境を生み出します。その結果、優秀な人材が組織に留まる理由となり得ます。ただし、離職率やエンゲージメントは、報酬・業務量・リーダーシップなど複数の要因によって左右されます。DEIの効果を正確に把握するには、後述するグループ別離職率やメンバーアンケートなどの指標を組み合わせて確認することが不可欠です。

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▪︎ ESG経営とDEIの接点

ESG評価の基準は機関によって異なりますが、「S(社会)」領域では多様性・賃金格差・労働環境など人材運営に関わる項目が取り上げられるケースが多くあります。投資家が投資先企業に、グローバルな取引先がサプライチェーンのパートナーにDEI関連情報の開示を求めることも珍しくありません。中堅・中小企業においても、DEIの基準を事前に整備しておくことで、こうした要求に迅速に対応できます。

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▪︎ 最近のグローバルDEIトレンドの変化

2025年以降、主に米国の一部大企業がDEIプログラムを縮小したり、「Inclusion」「Belonging」などの名称に変更する動きが相次ぎました。その背景には、政治的環境の変化とともに、特定グループを優遇する方式のプログラムが差別禁止規定と抵触しうるという法的リスクへの判断も働いています。

2026年時点では、名称変更・プログラム縮小・従来方式の維持など、企業・国によって対応がまちまちであり、一つの流れとして断言することは難しい状況です。実務においては、各国の法律環境を確認したうえで、特定グループの比率を合わせることだけに注力するのではなく、採用・評価・業務配置の公正性と差別防止の原則を合わせて点検することが重要です。

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3. DEIの概念で人事担当者が混同しやすい点はどこでしょうか?

▪︎ 公平性(Equity)と平等(Equality)の実務的な違い

平等(Equality)はすべてのメンバーに同じ条件を提供することであり、公平性(Equity)は各自の出発点の差を考慮して、必要な条件を調整することです。

区分平等(Equality)公平性(Equity)
概念すべてのメンバーに同じ条件を提供する出発点の差を踏まえて、必要な条件を調整する
実務例全従業員に同一の研修時間を割り当てるキャリアブランクからの復職者に追加のオンボーディングを提供する
限界出発点の差を無視してしまう可能性がある個人の状況を事前に把握する必要がある

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▪︎ 多様性と包括性を別々に管理すべき理由

多様な人材を採用したとしても、意思決定の場で特定グループの意見が繰り返し無視されるなら、多様性は確保できていても包括性は実現できていない状態です。この二つの概念は互いを補い合うものですが、測定方法も改善アプローチも異なるため、それぞれ別の管理指標と計画が必要です。

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▪︎ DEIからDEIBへ:「帰属意識(Belonging)」まで広がった概念

近年はDEIB(Diversity・Equity・Inclusion・Belonging)という概念も広まりつつあります。帰属意識(Belonging)は包括性をさらに一歩進めた概念であり、メンバーが「ありのままの自分」で組織に貢献できると感じられる心理的な状態を意味します。

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4. 採用から組織文化まで、DEIはどのように導入できますか?

▪︎ 採用段階:構造化面接とブラインド採用の設計

採用プロセスでは、求人票に性別・年齢への偏りを生む表現がないか見直し、ブラインドで履歴書を審査し、構造化面接を取り入れることで無意識のバイアスの影響を抑えることができます。構造化面接とは、すべての応募者に同じ質問を行う方式です。面接官に多様な背景を持つメンバーを加えることも、偏りの軽減に効果的です。

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▪︎ 配置・勤務運営段階:公正な業務配置と勤務基準の整備

重要な業務や成長機会が特定のグループに偏らないよう、業務配置の履歴を定期的に見直してください。勤務時間の調整や柔軟勤務の申請基準も、すべてのメンバーに一貫して適用されることが重要です。

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▪︎ 評価・報酬段階:公平性に基づいた成果管理基準の整備

同じ役割に対する評価基準がメンバーによって異なる形で運用されないよう、評価ルーブリックを文書化しておく必要があります。性別・年齢別の賃金格差を定期的にデータで確認する慣行を整えることも重要です。ただし、賃金格差の数値だけで差別の有無を判断することはできません。職務・職級・経歴・勤続年数などの条件を揃えたうえで比較することが前提となります。

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▪︎ 組織文化段階:包括的なコミュニケーション構造と制度の構築

心理的安全性を高めるために、匿名フィードバックチャンネル、多様性に関する相談窓口、メンタリングプログラムなどを運営することが有効です。会議での発言機会が均等に確保されるよう、ファシリテーションの原則を管理者研修に組み込むことも効果的です。

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5. DEI研修は誰を対象に、どのように運営すべきでしょうか?

▪︎ 全従業員対象の研修:相互尊重とコミュニケーションの原則

全従業員向けのDEI研修は、規定の暗記よりも「なぜこの基準が必要か」を理解し、日常業務のなかで実践する方法を身につけることに重点を置くべきです。マイクロアグレッション(日常的な微細な差別的言動)、言葉の使い方の基準、異議の伝え方など、同僚と働く場面で実際に直面しうる状況を事例として取り上げることが効果的です。

シフト制やパートタイムの従業員が多い職場では、研修内容をどう届けるかも重要な課題です。Shoplの[業務連絡・アンケート]機能を活用すると、組織や職級に応じて研修内容を使い分けて配信し、PDFやイメージなどの資料も一緒に共有できます。確認状況をリアルタイムで把握し、未確認の従業員に再通知を送ることができるほか、研修後にはアンケートでメンバーの理解度や意見を収集し、次回の研修に反映させることも可能です。

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▪︎ 一度きりで終わらないDEI研修の運営方法

研修で学んだ原則を実際の業務でも活かし続けるためには、メンバーが必要なときに関連規定や手順を確認できる環境が欠かせません。たとえば、勤務調整の申請基準や社内の相談・苦情対応手順など、業務中に疑問が生じやすい内容をすぐに参照できるよう整備しておくことが重要です。

Shoplの[AIチャットボット]機能を活用すると、DEI研修資料や関連する社内規定を登録しておき、従業員が必要なときに質問して案内を受けられるようになります。人事規定・研修資料などテーマ別にチャットボットを分け、利用対象を設定できるため、従業員ごとに必要な情報を的確に提供できます。研修後もメンバーが関連基準をいつでも確認できる仕組みが整うことで、管理者が繰り返し個別に説明する手間を大幅に減らせます。

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6. DEIの成果はどのように測定・改善できますか?

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▪︎ DEI測定のための主要指標

DEIの成果は、多様性・公平性・包括性だけでなく、離職・定着に関する指標も合わせて確認し、各領域に適したデータで測定することが重要です。

測定領域主要指標の例測定方法
多様性職級別・部署別の性別・年齢・国籍の分布人事データの分析
公平性同一職級内の賃金格差、昇進率の差異報酬データの比較
包括性心理的安全性・帰属意識のアンケートスコア定期従業員アンケート
離職・定着グループ別の自発的離職率の差異退職データの分析

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▪︎ 現場運営データを活用したDEIの改善

勤務時間の割り当て・業務指示の履歴・休暇承認のパターンなど、現場の運営データをグループ別に分析することで、不均衡を把握できます。特定の従業員グループに週末勤務や不人気な時間帯のシフトが集中していないかを定期的に確認することは、実効性のある公平性チェックの方法です。

グループ別データは個人を特定できない形で集計・分析する必要があり、各国の個人情報保護基準に従って収集目的と範囲を最小限にとどめなければなりません。特に人数の少ない店舗やチームでは、集計データだけでも個人が特定されうるため、一定人数以下のグループは上位単位にまとめて分析することが安全です。

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▪︎ 人事管理システムでDEIを継続的に管理する方法

複数の店舗や現場を運営する企業では、シフト表が拠点ごとに分散しているため、週末や不人気な時間帯の勤務が特定の従業員に集中していないかを把握しにくいことがあります。DEIが宣言だけで終わらないためには、勤務日程を一貫した基準で管理し、実際の割り当て履歴をもとに公平性を点検できる仕組みが必要です。

Shoplの[スケジュール]機能を活用すると、グループ別・勤務地別のテンプレートで勤務日程を割り当て、カレンダーやリストビューで従業員別の日程を確認できます。管理者は累積した日程記録をもとに、週末や不人気な時間帯の勤務が特定の従業員に繰り返し配置されていないか検証できます。また、時間外勤務の事前・事後承認や残業レポートのダウンロードを通じて、超過勤務の実態も把握することができます。

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7. DEIに関するよくある質問(FAQ)

Q. 中小企業や小規模な店舗でもDEIは必要ですか?

A. はい、規模に関わらずDEIは必要です。メンバーが10人の組織でも、それぞれ異なる背景や状況を持つ人たちが一緒に働いているからです。

特に小さな組織では、一人の離脱が全体の運営に与える影響が大きく、不公正な業務配置や偏ったコミュニケーション方法がすぐに現場の負担に直結します。大規模な制度を導入しなくても、勤務時間の割り当て基準を一貫して適用したり、フィードバック方法の公正性を確認したりと、小さな実践から始めることができます。

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Q. DEI研修は別途プログラムとして単独で運営する必要がありますか?

A. 必ずしもそうではありません。すでに実施している管理者研修、新規入社社員のオンボーディング、定期チームミーティングにDEIのテーマを組み込む形でスタートすることもできます。

重要なのは研修の形式よりも、研修の内容が業務配置・フィードバック・評価など実際の運営基準につながっているかどうかです。

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Q. グローバル企業がDEIを縮小しているという話を聞きますが、今から導入しても大丈夫でしょうか?

A. 導入して問題ありません。ただし、事業所が属する国の法律環境を確認したうえで、特定グループを一律に優遇するよりも、公正な業務配置・一貫した評価基準・必要なメンバーへの合理的な条件調整・意見収集プロセスなど、明確な基準に基づいて運営することが重要です。

こうした原則は政策環境が変わっても維持しやすく、職場のトラブル防止や人材の定着にも役立ちます。

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Q. 現場の管理者がすぐに実践できるDEIの行動とは何ですか?

A. 業務配置の一貫性とフィードバック方法の公正性を点検することから始められます。

たとえば、好まれる業務・避けられがちな業務が特定の従業員に繰り返し割り当てられていないかを定期的に確認し、すべての従業員に同じ基準と言葉でフィードバックを提供することです。個人的な事情による勤務調整の申請も、一貫した基準で対応することが求められます。こうした日常の中の公正さが、包括的な職場文化をつくる第一歩です。

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Q. 包括性を高めるために、HRが最初に取り組むべきことは何ですか?

A. まずは現在のメンバーの声を体系的に収集することから始めるべきです。

帰属意識に関するアンケートと匿名フィードバックチャンネルを運営し、チーム別の包括性スコアのベースラインを設定することで、改善の方向性を把握できます。データなしに動き始めると、意識改善キャンペーンにとどまりがちです。ベースラインを確保したうえで、スコアが低い領域から管理者研修と制度改善を結びつけることで、改善の優先順位を明確にしやすくなります。

DEIは多様なメンバーを集めることで終わりではありません。それぞれの違いを考慮しながら、業務配置・評価・コミュニケーションの場で公正な基準が一貫して適用されているかを継続的に確認し続けることが求められます。そのためには、メンバーの声に耳を傾け、人事指標と実際の勤務記録を合わせて確認するプロセスが必要です。

特に複数の店舗や現場を運営する企業であれば、勤務日程と業務配置の履歴を体系的に管理することが、公平性を点検するための出発点となります。Shoplは、グループ別・勤務地別のスケジュールの管理と勤務記録を通じて、現場運営の実態を把握できる環境を提供します。メンバーが互いの違いを尊重しながら働ける職場、一貫した運営基準を整えることから始めてみてください。

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