
ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステム(OH&SMS)に関する国際規格であり、組織が従業員の安全と健康を体系的に管理するための枠組みを提供します。前身であるOHSAS 18001から移行し、2018年に発行されたこの規格は、トップマネジメントのコミットメントと「働く人の参加」を核心に据えています。認証取得は労働災害リスクの低減にとどまらず、取引先・入札における信頼性向上や従業員エンゲージメントの改善にも直結します。
ISO 45001は、労働安全衛生(Occupational Health and Safety)に特化した、ISO(国際標準化機構)が策定した初めての国際規格です。2018年3月に正式発行され、世界130か国以上で活用されています。
この規格の目的は「労働に起因するけが・疾病の防止」と「安全で健全な職場の提供」です。重要なのは、単なる法令遵守を超え、PDCAサイクルによる継続的な改善を組織に義務づけている点です。リスクを事後対応ではなく事前に特定・管理する仕組みを構築することが求められます。
OHSAS 18001は民間主導の仕様でしたが、ISO 45001はISOが策定した真の国際規格です。構造面ではISO 9001・14001と共通の「附属書SL(高位構造)」を採用しており、他のISOマネジメントシステムとの統合管理が容易になりました。
最大の変化は「働く人の参加(Worker Participation)」の明示的な要求です。OHSAS 18001では経営層主導が中心でしたが、ISO 45001では現場従業員が危険源の特定や改善提案に積極的に関与することが求められます。ISO 45001の発行後、移行期間(2018年3月〜2021年3月)が設けられましたが、新型コロナウイルスの影響により6か月延長され、2021年9月をもって移行期間が終了。これによりOHSAS 18001は認証としての効力を失っており、移行が完了していない組織は早急な対応が必要です。
ISO 45001と日本の労働安全衛生法は別物ですが、補完関係にあります。労働安全衛生法は国内法令であり、遵守は法的義務です。一方、ISO 45001は任意の国際規格であり、法令が定める最低基準を「体系的に超えていく」ための自律的な仕組みです。
ISO 45001の取り組みを通じて法令遵守の状況を定期的に確認・記録する習慣が生まれ、結果として法令違反リスクの低減にもつながります。
> ※本記事の法令関連の記載は執筆時点の情報に基づいています。最新の内容は厚生労働省や所管機関の公式情報をご確認ください。
リスクアセスメントは労働安全衛生法においても努力義務として位置づけられており、体系的に実施することで危険源を事前に可視化・排除しやすくなります。定期的な内部監査と組み合わせることで、リスク管理の精度はさらに高まります。法令遵守の評価を定期的に行う義務もあるため、労働安全衛生法への対応漏れを防ぐ効果もあります。
国際的に認知された第三者認証は、取引先や入札先への強力なシグナルとなります。特に建設・製造・物流分野では、ISO 45001認証を入札条件や取引要件とする企業・自治体が増加しています。グローバル展開を視野に入れる企業にとっては、海外拠点・パートナーとの共通言語にもなります。
「自分たちの安全が組織的に守られている」という実感は、従業員の職場への信頼感と定着率に直接影響します。ISO 45001では現場からの危険源報告や改善提案を仕組みとして取り込むため、安全管理が「一部の担当者の仕事」ではなく「全員参加の文化」へと変わります。
まず、ISO 45001の要求事項と自社の現状を比較し、何が足りないかを明確にします。既存の安全衛生管理の文書化状況・リスクアセスメントの実施状況・教育訓練記録などを棚卸しします。
ギャップ分析の結果をもとに、安全衛生方針・目標・手順書・記録様式を整備します。ISO 45001は文書化要求が明確なため、現場で実際に使われる手順書を作成することが重要です。「棚に眠る文書」では審査を通過できません。
システムが機能しているかを組織内部で確認します。内部監査員を育成・任命し、不適合事項を記録して是正処置を実施します。外部審査前に最低1サイクル回しておくことが審査通過の鍵です。
JQAやBSI、SGSなどの第三者認証機関が第1段階審査(文書審査)と第2段階審査(実地審査)を行います。不適合が指摘された場合は是正処置を実施し、認証判定を受けます。
認証取得はゴールではなく出発点です。毎年のサーベイランス審査と3年ごとの更新審査を通じて、マネジメントシステムを維持・改善し続けることが求められます。
上記はあくまで目安であり、業種・拠点数・既存システムの整備状況によって大きく変動します。コンサルタントを起用しない場合は費用を抑えられますが、準備期間が長引く傾向があります。
ISO 45001の認証を取得しても、現場スタッフへの浸透が進まないケースは少なくありません。「認証は本社の話」という意識が残ると、日常点検や危険源報告が形骸化します。教育訓練を単発の座学で終わらせず、日常業務の中で安全行動を確認できる仕組みに落とし込むことが重要です。
年に一度の書類作成で終わってしまうリスクアセスメントは、実態を反映しない「文書のための文書」になりがちです。作業内容の変更・新設備の導入・ヒヤリハットの発生のたびに更新する運用を定着させることで、現場の実情に即したリスク管理が実現します。
点検記録・是正処置・教育訓練記録をすべて紙やバラバラのExcelで管理している現場では、内部監査の際に証跡の収集だけで多大な工数がかかります。デジタルツールを導入して記録を一元化し、報告の即時性と追跡可能性を高めることが、認証維持コストの削減と実質的な安全管理の向上の両方に効きます。
シャップル(Shopl)のTo-do機能を使えば、毎日・毎週の安全点検チェックリストを現場スタッフに配信し、完了状況をリアルタイムで把握できます。「誰が・いつ・どの点検を実施したか」を逐一電話や紙で確認する必要がなくなり、点検漏れを即座に検知できます。ISO 45001が求める「記録の証跡」も自動的に蓄積されます。詳細な機能はヘルプセンターでご確認いただけます。
現場で発生するさまざまなイシューや改善提案の報告、およびその対応状況の進捗を現場から本社までシームレスにつなぐことで、情報の鮮度を保ったまま安全管理の意思決定を加速できます。掲示板機能を活用することで、ヒヤリハットの報告にも応用できます。各店舗・拠点の状況を一画面で確認できるため、複数拠点を管理する本社の人事・安全衛生担当者が「今どこで何が起きているか」を即座に把握できます。ISO 45001の内部監査に必要な記録も一元管理されるため、監査対応の工数を大幅に削減できます。
A. 取得できます。ISO 45001は企業規模に関係なく適用可能な規格です。ただし、準備期間・費用・人的リソースは規模によって異なります。中小企業の場合、外部コンサルタントの活用や、業界団体が提供する支援制度を活用することで、負担を軽減しながら取得を進める事例が増えています。
A. はい、移行は必須です。ISO 45001の発行(2018年3月)後に設けられた移行期間は、新型コロナウイルスの影響により6か月延長され、2021年9月をもって終了しました。これによりOHSAS 18001は認証としての効力を失っており、現在は有効な認証として機能しません。ISO 45001への移行審査を受けることで、既存のシステム資産を活かしながら認証を継続できます。移行には通常6〜12か月程度かかるケースが多く、早めの対応が推奨されます。
A. 認証の有効期間は3年です。その間、毎年1回のサーベイランス審査(維持審査)を受け、3年目に更新審査を受けることで認証が継続されます。サーベイランス審査を受けない場合や重大な不適合が是正されない場合は、認証が一時停止・取り消しとなる可能性があります。
A. 最初のステップはギャップ分析です。ISO 45001の要求事項一覧と照らし合わせて、自社で現在実施できていること・できていないことを整理します。同時に、経営トップのコミットメントを文書(安全衛生方針)として表明することが、規格上の最初の必須要件となります。
A. 別物です。労働安全衛生法は国が定めた法令であり、遵守は法的義務です。ISO 45001は任意の国際規格であり、認証取得・維持は組織の自律的な取り組みです。ただし、ISO 45001の要求事項の一つに「適用される法令・規制要求事項の特定と遵守評価」があるため、ISO 45001を適切に運用することで、労働安全衛生法への対応状況を体系的に管理できるという補完関係にあります。
ISO 45001は法的義務ではありませんが、「現場のリスクを見逃さない仕組み」を構築するプロセスそのものです。ただし、認証を維持していくうえで最大の難所となるのが、紙やバラバラのExcelに散在する点検記録をそのつど掻き集める作業です。シャップル(Shopl)は、日常点検と現場報告を一つの画面で管理できる環境を提供することで、ISO 45001が求める記録の証跡を自然な形で蓄積していけるよう支援します。現場の安全管理のデジタル化をご検討の方は、ぜひ下のボタンからシャップル(Shopl)の公式サイトをご確認ください。